脳神経外科の医師(常勤・非常勤)求人ガイド

脳腫瘍は病理組織が100種類以上と非常に多いため、的確な診断が必要です

良性疾患が多く、根治が望めます

脳組織の中に異常な細胞が増殖する病気で、年間、人口10万人に約12人が発症します。良性と悪性があり、直ちに生命にかかわる腫瘍ばかりではありませんが、放置すると脳を圧迫してさまざまな障害を起こす可能性があるため、治療を要するものが多くなっています。他の臓器のがんが転移して発症する転移性脳腫瘍もあります。

脳腫瘍の発症原因については、はっきりとしたことはわかっておらず、そのため、これといった予防法もまだありません。

症状は、脳が圧迫されるために起こる慢性的な頭痛、吐き気・嘔吐、視力低下、けいれん発作、手足の麻痺などがあります。

「脳腫瘍=不治の病」というイメージが一般的には強いですが、その多くが良性疾患ですので、しかるべき治療を受ければ根治できます。ただし、脳腫瘍は、他の臓器の腫瘍と異なり、病理組織が100種類以上あるため、一つ一つがまれな病気であるといえるため、的確な診断が求められます。以下は、数多い脳腫瘍のなかでも症例数が多い代表的なものです。

髄膜腫:脳を包んでいる髄膜から発生する良性の腫瘍のことで、脳腫瘍のなかでも最も多いタイプです。症状のない「無症候性髄膜腫」は、手術を受けなくても問題ないものもあります。

手術をするべきかは、患者の年齢、腫瘍の大きさ、発生部位などを考慮して判断します。約2%は悪性の場合もあります。また、手術で摘出しても10年ほどで10%弱は再発することもあります。

神経膠腫(グリオーマ):星細胞系腫瘍などの総称で、脳そのものにできる原発性脳腫瘍の約28%を占めており、総合すると脳腫瘍のなかで一番多くなっています。良性と悪性がありますが、組織的に良性であっても、周囲の正常な組織との境界が不鮮明で治療が難しいという問題があります。

自覚症状としては、脱力、けいれん発作、痺れ、失語症、視野障害などの局所症状が現われます。腫瘍が大きい場合には、頭痛、吐き気・嘔吐、意識障害など頭蓋内亢進症状と言われる症状が現われます。

下垂体腺腫:脳の中央に位置し、様々なホルモンを分泌している下垂体にできる良性の腫瘍です。下垂体腺種になるとプロラクチン、成長ホルモン、婦人皮質刺激ホルモンなどが過剰に産生されます。

逆にホルモンを産生しない非機能性腺種というものもあります。どのホルモンが過剰に分泌されるか、あるいはされないかによって症状は異なります。例えば、視神経を圧迫すると視野狭窄になったり、プロラクチンが過剰に産生されると無月経や不妊症、成長ホルモンの過剰産生では先端巨大症になったりします。

神経鞘腫:発生した脳神経の名前で呼ぶ良性腫瘍のことで、一番多いのは聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)で、二番目は三叉神経腫瘍です。そのほかにも、顔面神経、迷走神経、動眼神経など様々な神経に近接する腫瘍であるため、後遺症が残る場合もあり、治療は慎重に決めることが求められます。聴神経腫瘍は眩暈やふらつき、耳鳴り、聴力の低下などが、三叉神経腫瘍では顔の痺れが現われます。

脳腫瘍の主な検査は、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴装置)によって頭蓋内の縦横の断面の情報を得ます。腫瘍がある場所、大きさ、周囲の組織との位置関係、脳自体に発症いるか、周辺の組織に発生しているかなどを確認します。腫瘍によって生じるむくみ(脳浮腫)の程度や腫瘍細胞の広がりなどの把握も重要となります。

画像診断で腫瘍が確認されたら、腫瘍の組織を調べ、種類と悪性度を調べます。組織を採取するためには生検術、腫瘍を安全に摘出するであれば開頭手術を行います。手術以外の場合は、病巣に針を刺し入れる定位脳生検や内視鏡手術などを行うこともあります。

 
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